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2010年6月 9日 (水)

告白

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話題の「告白」見てまいりました。公式サイトはこちら

この映画は中学が舞台ですが、現役の都立高教師の友人も、もう教師を引退した私と同じような友人も、それから公立学校に子供を通わせたことのある友人も皆、絶賛してましたので、ちょっと頑張って平日の朝九時半からw見てきました

学校や教室を舞台にした映画ドラマは数あると思いますが、この映画は「リアルさ」という点で別格です。15禁指定、内臓こそ映りませんがスプラッタばりに血がバシバシ吹っ飛ぶ映画のどこがリアルかといわれそうですが、実は「教室の中で起きていること」って殆どの人が「自分の育った教室のこと」しか知らないのではないでしょうか。今知り合いや自分の子どもに小中高校生がいる人も、彼らが教室という密室で何をしているかは実は「伝聞」でしか知らないはずです。で、殺人事件には幸運にして出遭わなかった人も多いと思いますが、それ以外のこの映画に出てくるシーンは全部、今のお子さんが実際に暮らしている世界ではごく「当たり前」の事だと思って見て欲しいと思います。現役教師たちが「王様の耳はロバの耳」と叫びたくて仕方のない「教室の現実」ってまさにこのとおりなんです。

映画の中では、ある事故について、先生の告白、生徒の告白、生徒の親の告白という形をとって、次々と「真実」が明かされていきます。最初に淡々と語られる事実は、ワイドショーその他で語られる「中学生の実態」を超えていません。彼らの日常も見ている人の「想像の範囲」を超えていないと思います。でもその見えている事柄の内側が「告白」によって次々とさらけ出されていくと、まずちょっと題材が過激な普通の中学生日記、のように思えて、多少気持ちは引き気味になりながらも、何とか画面を見続けるでしょう。頑張ってみていればこの凄惨な話の片隅に微笑ましいと思えるシーン、救われたような気持ちになれるシーンもあるかもしれません。
でもそれも「告白」によって、さらに内側が暴かれていきます。この、三層目まで描いたから、すごいと私は思うんですね。で、実はそこまで暴くと彼らの心の闇は、古今東西何も変わっていないのだということが、現実と呼ぶにはあまりにも重たいモノと共に、ストンと理解できると思います。でもだからこそ、現代社会では、彼らのそうした人として当たり前の、ごく根源的な欲求は、決して、絶対、金輪際全くかなうことのない望みだということも、彼らと違ってもう社会に出ている人たちには容易に理解できると思います

主演の松たか子さんは、自分の子どもには、何とかしてこうした世界は回避させたい、と正直に話しておられました。私も同じことを考え子供は公立には入れていません。そして持てる知識のすべてを総動員し、子供本人の持つ能力と運に助けられて、現在はまだこうした事態はそこそこ回避できています。小学生の時いじめで保健室登校した事もありましたが、子供は自分の力ではねのけましたし、またはねのけられるレベルのいじめでした。そしてそんな程度で無事小中をくぐり抜け高校に行ける子供など、日本全国でほんの一握りなのだという事をしみじみ思います。何故か。

もともとの「子供の幸せ」という定義が間違っているから、です。世間一般的な意味で子供を幸せにしてあげようと思ったら、「ただの」親「ただの」教員では絶対に無理なんです。それを享受するために人並外れた運や実力が必要になってくるような、人間が人間を教える限界、というものを遥かに超えたものを、現代は次世代に要求しているからです。最初から無理。映画を見て「こうならないためにはどうするか」ではなく「こうなるのだ」という現実を引き受ける勇気を持って欲しいと、私は自戒を込めて思います。松さんは、先程の言葉に続いて「でもいざその場になったら戦って欲しい」と言っていました。その通りです。「幸せな子ども像」という出来上がった観念に子供をすり合わせるのではなく、現代社会の要求などはねのけて、その子がこの社会と向き合っていけるためには何が必要か、を親が個別に考えてあげて欲しいのです。それは「使えない教師」にも「頼りない塾」にもできない、会社や社会の評価とは全く別次元の「人間としての中身」が試される、親子の真剣勝負でもあります。

そこで血を流さなければ、どこかで本当の血が流れることになる、そして世の中はそんな犠牲には一切お構いなくただ滔々と流れていく。エンドロールのOmbra mai fùは心に痛い、救いでした

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