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2007年3月25日 (日)

「蟲師」

 公開初日に見て参りました。公開前から次回作上映予定が後ろに入っているわ、街のチケット屋では通常チケットが880円で売られているわで、たいへんビビりながら(笑)出かけたのですが、私はとても好きな映画でした。薦める相手を選びますが(汗)良ければ是非どうぞ。

 原作が好きな方は、「自然との共生」といった美辞麗句に惑わされない、ぬきさしならないぎりぎりのところでの闘い、「諦観」とでもいうべきあの独特の世界観が、映画ではあまり描き切れていないところに不満を持つかも知れません。しかしその背骨となるべき本来の「自然の力」を、こういう形で見せられ鉛のように呑み込まされて初めて、あの原作は本当に理解できるものなのかも知れません。少なくともこの種の原体験が少ない私にとっては、非常に示唆に富んだ映画でした。外国での評価が「背景の美しさ」に集中したのもわかる気がします。
 それから、私などが言うのは本当におこがましいのですが、大友監督以下技術スタッフの総力を文字通り結集した職人技を堪能できます。スターウォーズⅣを撮るにあたり、革新的なCG処理技術が(必要に迫られて)いくつも編み出され、今ではそれがソフトウェアとなり、それ無くしてはCGが作れないほどになっていますが、たぶんそれと同じ事が、この映画にも起きています。日本のアニメーションが全く他の追随を許さないあの「空気を感じさせる動き」が見事にCGとなり、蟲たちの実に美しい動きとなって現われます。誰かさんは「現代技術の・・・一番凄い・・・最先端?」とあっさり片づけてくれていましたが(笑)、アメリカ映画のCGに食傷気味の方にこそ是非見て頂きたい、繊細な美しさです。

 問題は、およそ虫が嫌いな人にとっては全編の2/3は見るに堪えない、という所なんですね~私は虫が嫌いな方ですが充分堪能できたので、人それぞれかと思いますが。スプラッタやホラーが大丈夫な人でも、この種のものが生理的にダメな人は絶対ダメでしょう。予告や原作をよく見てから劇場に足をお運び下さい。大森氏の芝居は目を見張るような出色の出来、オダギリ氏は、特に後半口もきけない状態になっている時に色気炸裂、通常の三倍増です(当社比)。「ゆれる」前半と同じ、いわゆるサービスショットとオモワレますので(笑)行ける方は絶対にお見逃しなく・・・

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コメント

contessaさん、お久しぶりです。
お仕事のほうは少し落ち着かれたんでしょうか?
久々のcontessaさんのレビューが見られてうれしいですv
「蟲師」私はかなり好きです*^^*
映画が始まると最初っからどっぷり蟲師の世界に入り込んでいます。
CGかと思えば自然のままの撮影で、ロケかと思えばCGだったり。本当に驚いてしまいます。

投稿: luckystriker | 2007年3月27日 (火) 19時43分

luckystrikerさん

ご無沙汰してます~書き込み有難うございました。
「蟲師」、私もかなり好きですv
あれから考えたんですけれど、これ、「雨柳堂夢咄」や「百鬼夜行抄」(いずれも漫画ですが)が好きな人なら大丈夫なんじゃないかと思いました。
映画見ていると、田舎の里山や登山道あたりでは決して見られない生々しい自然に頭の中まで浸され染められたような気持ちになるのが凄いです。あそこなら蟲がいても全然不思議じゃない~と思わせる実景を引きずり出せた時点で、この映画の目的は半分以上達成できたのではないかと・・・ほんとに凄いです。

投稿: contessa | 2007年3月28日 (水) 17時13分

映画「蟲師」のReviewを検索していて、拝見しました。原作は好きですし、そのうえオダギリジョーさんだし、必ず観たい作品ですが、原作とは雰囲気がかなり違うようで…不安のほうが強いですが…でも丁寧な画作りがされた映画のようですので(私の町ではやってないのですが:_;)でも、こちらを読んで、やっぱり観たい!と思いました(^^)

投稿: sui | 2007年3月31日 (土) 02時43分

suiさん こんにちは、初めまして。
書き込み有難うございました。

私も原作が大好きで、夜中のアニメも一生懸命見てたクチですvvでも私の見た感じだと、映画は原作よりかなりマイルドな感じがします。特に蟲の描写は当然ながらCGなので、他が実写な分、原作よりアニメより更に幻想的ではかなげな存在にうつりました・・・
suiさんのところでは公開がないのですね。DVDでレンタルが出たらまた是非感想お聞かせ下さい。

投稿: contessa | 2007年3月31日 (土) 21時18分

contessaさんこんにちは、インタビュー記事など詳しく載せてくれていて、楽しく読ませていただきました!映画「蟲師」観てきました。地元では上映がなくて、車で1時間の隣市へ観に行きましたが、最初に結果を言うと、これは出かけた甲斐があった!…です(^◇^)鑑賞中は、あぁこの監督の演出は申し訳ないけど苦手、しんどいなあ(常闇になったぬいの表現があまりにも)…他にいいシーンは沢山あるけど、これは残念ながら自分の中ではやっちゃった映画かも、と思っていたのに、ぬいを山奥へ運ぶクライマックスからラストまでのあっさり感が…あれ、なんだか目頭が熱く?私には逆に後味がよくて、見て少し経ちましたがいい余韻が残った映画でした。途中までは、噂通り、映像と衣装と俳優さんのたたずまい辺りしか見所ないよ(すみません)、など思っていたのに不思議です。映画は、トーンこそ監督独自の色が強かったですが、蟲師という作品の解釈自体は外していなかったと思えたのですが…私がもし原作者なら、激怒どころか逆にちょっとうれしいというか安心した、と思うのですが…どうなんでしょう。インタビューを読んで、オダギリジョーさん、あんまりこの
作品に思い入れなさそう?など勝手にうがって少ししょげていましたが、今は、オダギリギンコ忘れようったって忘れられません。
とにかく、好きか嫌いかで決めろというなら、好きな作品でした(^^)

投稿: Sui | 2007年4月 8日 (日) 17時24分

Suiさん、御覧になれたのですね!
よかったです~
って、手放しで言えるほどカルい映画でもなかったわけですが(>_<)
おかげで感想読ませて頂けて嬉しいです。本当に有難うございますvv

>ぬいを山奥へ運ぶクライマックスからラストまでのあっさり感
私も、ここはとてもとても好きです。原作とは違う設定ですが、映画の世界がいきなりふっと立ち消え、そこからよりいっそう心に強くしみてきました。今自分が見ていたものは何だったんだろうという、ふわんとした喪失感がいつしかせつなさに変わる・・・のは、決して居なくなったのがオダギリジョーだからではなくて(笑)、なんというか無常観のようなものを感得させられるからなんだろうと思います。そのあたり、最後の最後ですっと原作の思いに寄り添った感じ、見事「落としこんだ」感じがしましたです。さすがというかなんというか。

ギンコの生い立ちは確かにヘビーですよね・・・でもそのことと、蟲師となったギンコの思いはある意味分断されているわけですから、原作世界を深めていくためにももう少し、大人のギンコに焦点絞ってもよかったかも、と私も思いました。いえ、決してオダギリギンコがたくさん見たいというだけの理由ではありません(笑)

また他の映画でも是非感想お聞かせ下さい。
有難うございましたm(_ _)m

投稿: contessa | 2007年4月 9日 (月) 00時26分

こんにちは。お久しぶりですー。
怒涛の繁忙期の峠は越されたのでしょうか。

さてさて、私も 『蟲師』 は気に入りましたですよ。
ロケーションの素晴らしさと世界観(正しく理解はしていないかもしれないけれど)がとてもよかったと思います。音にもしびれましたー。
『HAZARD』の舞台挨拶の時のオダジョーの髪型はギンコヘアーへのステップだったんだろうかと思ったり・・・。

『東京タワー』は私は観なくていいかなぁと思ったんですが、せくしーおだじょーはやっぱり必見でしょうかね?

投稿: かえる | 2007年4月20日 (金) 19時31分

かえるさん

お返事こんなに遅くなってしまってすみません・・・
もう今からお返事しても間に合うのは「髪型」ぐらいかと(殴)

髪型・・・本人は本来、短髪は嫌いなんだそうですよ。そして特にこのギョーカイ入ってからは、イメージの固定される髪型は極力避けたいと思うようになったそうで。
私的には、あの魔法使いのような長髪は充分固定イメージを作る(っていうか独特すぎ!)と思っていたのですが、
ライフやビールのCMでのリーマン姿や、時効警察でのオタクなあんちゃんぶりを見ると、案外なんでもイケる便利な髪型なのだと思うようになりましたよ・・・ちょっとだけ(笑)

東京タワーはもう御覧になったでしょうか。地元ですので、今度是非ロケ地ツアーしましょうv
あのお店と横断歩道と、リリーさんが住んでたボーリング場上マンション近辺では、今でもポスターが貼られ親子は風雪に耐えています(笑)

投稿: contessa | 2007年6月 3日 (日) 00時45分

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