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2006年11月10日 (金)

虹の女神

8_2 「虹の女神」見てきました。公式サイトは写真からどうぞ。

突然見に行く気になったきっかけは、この長い休みの間の某日某所での話、なんですが。

「そういえば岩井俊二監督って最近何しているんですか?」
「岩井さんはほら『虹の女神』の製作入って、やってたよ」
「え、あれ、 監督も脚本も違いますけど」
「あれの元本がラジオドラマになる前から、岩井さんが相談に乗ってて、映画化も岩井さんがお膳立てしたんだって」
「何で本人が撮らなかったんですか?」
「本人自身の話も入っているから、っていう事らしいよ」

 というわけで、もう人が死ぬ映画はそれだけでうんざり、と思っていた不束者のワタクシも、岩井さんのお話と聞いては見ないではいられませんvv  どのあたりがご自身の話なのかは公式読むと出てきます。私も映画学科でも何でもないのですが、シーンで見たとたん、その「伝説」を思い出しました(笑) いや、クラシックマニアも似たような事をしていた時期があったので(^_^;)。

 これは死んだ人を懐かしむ映画ですが、同時に今、文字通り第一線で撮りまくっている映画人たちの、自分の過去へのオマージュでもあります。ハチクロやのだめでもそうですが、いわゆるそっちの道をvv選んだ学生さんには、大学の授業出てクラブ出て就活して社会人になった人・・・とはまったく別の濃度と重さを持った時が与えられています。そしてたいていの場合それは、いいようのないくすぶりとわだかまりと期待だけの「単なる準備期間」で終わる。単位や成績といった、成果を形にして残せるものの無い学生時代なのです。しかし今仕事として映像に係わっている人にとっては、それは自分の原点以前の、何かを生み出す「混沌」として、とても懐かしくいとおしい時なのでしょう。それが画面を通してきらきらと伝わってきます。そのこっぱずかしくもみじめでサイテーな日々を、原作者の前で惜しむことなくさらけ出して見せた岩井さんの心の内が、伝わってきます。失礼を承知であえて言うなら、その画面の中に、若かりし頃の高瀬カメラマンや青山監督や冨永監督たちが怒鳴られながら走り回っているのが、本当に目に見えるようです。これは実際に今映画に携わっている方にはたまらない映画なのではないでしょうか・・・オタクである、という共通点しかない門外漢の私でさえ、その熱意と失意のジェットコースターを心の底から懐かしく思いましたから。

 意外なところで思わず泣かされちゃったのは小日向さんでした。ネタバレになりますが、主人公のあおいが撮った自主制作映画が映画の中で流れて、その中にお寺のシーンがあるんですが、そこで住職登場・・・となったらいきなりお父さん役の小日向さんが!知らん顔して袈裟掛けて出てくるんですよ(大爆笑) 学生映画ですからね、もう人を頼むお金なんか全然無いですから「お父さん、お願いっ」になったと思うんですが、それに出ちゃう(!)お父さんのその顔が、いかにも真剣でまじめで、ついでに素人とは思えないほど上手くて(笑)、なんかそのギャグのようなビンボーぶりに大笑いした後、ジーンとキてしまいました。こんだけお馬鹿な(^_^;)映画にまじめな顔して出ちゃうお父さんが、あおいちゃんをどれだけいとおしく思っていたかが、その住職小日向さんのあたたかなまなざしに溢れていたからです。映画人あおい、ではなくあおいを丸ごと愛した父の、瞳がそこにありました。

 それと、映画の冒頭あおいの死が知らされた後、わざとワインディングした「ジュピター」が流れてくるのですが、それが、人が死に触れた時の奇妙な高揚感と狂気の淵を、これ以上ないほど見事にあらわしていて鳥肌が立ちました。それは結局、あおいの自主制作映画の出だしとして使われていたから主人公の頭に浮かんだだけ、と後でわかるのですが、この場面で使いたいから自主映画の出だしをこれにしたのではないかと思えるほど、凄い音、でした。きっとこの後、何度も繰り返し思い出す事になる、音だろうと思います・・・・


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コメント

こんにちは。
私が日本で一番好きな監督は岩井俊二なんですが、これは監督違うからどうしようかなぁと思っていたんですよ。が、こちらの記事をちら見して、やっぱり行かなくちゃと思い直しました。
とてもよかったですー。大いに岩井ワールドでしたよね。というわけで、 contessaさんに感謝です♪

投稿: かえる | 2006年11月19日 (日) 09時56分

かえるさん、こんばんはv
本当に、素敵に岩井監督の世界でしたよね。私は見に行く前にSWTCHで監督と岩井さんの対談も読んだんですが、その意気投合ぶりは本当にうらやましいくらいでしたよ。久しぶりにあのはかなくもきらきらと輝く詩のような映像世界を堪能しました。

>日本で一番好き
私も、今一番オダギリジョーを撮ってほしい監督は岩井監督ですっっ!・・・微妙に違うかな?(笑)

投稿: contessa | 2006年11月20日 (月) 20時52分

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» 『虹の女神 Rainbow Song』 [かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY ]
せつなくてあたたかい。生も青春も大切な人も虹色に輝いている。 映像制作会社で働く智也のもとに、渡米していた大学時代の親友あおいの訃報が入る。岩井俊二がメガホンをとらずにプロデュースした初作品。 監督はしていなくとも、その名前に惹かれてしまう。私にとっての日本映画は岩井俊二作品が始まりだもの。 リリイ・シュシュの蓮見くんが成長して、飄々とした大学生を演じている。軽薄野郎なんだけど、その率直さがかわいくってにくめないキャラ。上野樹里ちゃんは、岩井ワールドの住人としては、輪郭線というか陰影と... [続きを読む]

受信: 2006年11月17日 (金) 22時46分

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