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2006年10月 7日 (土)

紀子の食卓

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「紀子の食卓」見てきました。公式サイトは写真からどうぞ。

 これ、すーごく長い(笑)んですが、長さを感じさせない、最後まで一気にのめりこんで見てしまう、そんな力強さがありました。「自殺クラブ」の顛末とその後が描かれた映画ですが、それを見ていない人はむしろ1本で2本分楽しめるからお得かもしれませんv園監督の映画の中では、相当言葉を尽くした丁寧でわかりやすい作品だと思いますので、一部スプラッタですが(^_^;)宜しければ是非どうぞ。

 園さんの世代は、たぶん親が正しい日本語を自在に操った最後の世代です。そして園さん自身も詩人ですから、出てくる言葉がほんとうによく「操られている」。それがこの映画では本当に素晴しかったです。相手に届く距離や重さなど一顧だにせず「かっこいいから」「流行の言葉に」「乗っけてしまおう」式の大雑把な括りが一切なく、一つ一つが丁寧に「練られて」います。まるで台湾の古老の話すような、ゆるぎないどっしりとした言葉の数々。見ていて本当に心地よかったです。DVD出たら、自分の日本語のブラッシュアップのために時々見ようと思います・・・血糊はトバして(笑)。

 その内容ですが。親子という個人のすぐ隣にある関係の中に、いつの間にか「狐とウサギ」の関係性が巣食っている現代人の様相を、ロールプレイングによって個々に解きほぐしてこうとする人たちの話です。こういった話の周辺には、今やほんとうに手垢にまみれたコトバがゴロゴロしていて、もはや言い尽くされた感もありますが、そこは詩人の力、実に丁寧に活写していくので飽きないです。結末も、母が役目を終え父は壊れ長女が残り次女は去るという、まるでギリシャ神話か心理学の教科書かといった、真っ当でごく自然なものですが、最後まで安直なドラマに陥らず、ひりひりとした緊張感を持ったまま突っ走りきっていて、見た後むしろ爽快感、達成感が味わえます。

 そして園さんが、これを描きたかったのはとてもよくわかります。園さんの世代は、家族の崩壊が「始まった」年なので、まだ食い止めたい、何とかしたいという気持ちが人々の中に普通に残っていたのです。しかし今は壊れた家庭で育った子が親となり、その子供が映画を見ている時代です。この映画に出てくる「人材派遣会社」を必要とする人が果たしてこれからどれだけ出てくるか。この会社の「その後」を描くのが、きっと後の世代に託された課題、なのだろうと思います。

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