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2006年9月15日 (金)

「46億年の恋」

1001123_03 「46億年の恋」見てきました。公式サイトへは写真からどうぞ。

よく考えたら、今年三池監督作品2つ目です。多作な方で発表ペースも速いので不思議な事ではないのですが、暴力とホラーはご勘弁、な私にとってはとても珍しい事です。「ぼっけえ きょうてえ」を見た人がいうせりふじゃないと思いますが(笑)

 途中、いろんな映画の意匠を思い出しました。この映画の原作は少年コミックなんですが、同じく同性愛に少女コミック的世界観を持ち込んできた「メゾン・ド・ヒミコ」とか、プリズンシーンでは「ドックヴィル」とか。個人の愛を描いているようでいて実は社会構造の陥穽を暴き出すと言う点では「嫌われ松子の一生」の監獄シーンだけをもっと深く重く煮詰めたともいえます。でも、言葉は悪いですが「根こそぎかっさらっていって後にはぺんぺん草も生えない」くらい(^_^;)題材を徹底的に描ききる、この絶対的な俯瞰の目には、本当に圧倒されっぱなしです。監督は映画においては創造主なのだと言わんばかりに、監督業の醍醐味を楽しみつくし遠慮なく使いこなしきっている豪胆さが本当に素敵(笑)。そんな余裕のコメントを書いていられるのも、これは三池作品の中では珍しく、最後まで破綻することなく話がまとまっていて、しかも切なく真摯で一途な恋物語だからです。ロケットやビラミッドが出てきてもそれに惑わされる事なく(笑)そこに少年愛というバイアスがかかっていたとしてもすんなり受入れられるv有無を言わせぬ力強さがそこにはあります。「想う」という、人間に備えられた能力の、きれいごとではすまされない底知れない闇の部分とその力を、丸ごと全部取り出しているからです。それらの「想い」が、この特異な登場人物達に限らず、この社会全体の底に濁流となって流れ、時々奔流のように吹き上げ・・・てくる様がビジュアルとして目に浮かぶような気さえします。

 登場人物は、絶対にどこにもいない人(笑)ばかりですが、特に安藤政信氏と、石橋凌氏が凄かった。安藤さんは、私はこの映画に出てくる有吉(松田龍平氏)のような方だと思っていたので、そのパワフルなカラダと突き抜けた暴力沙汰vにほんとにびっくりしました。そして「三池監督的」特異な詩情あふれる世界を、大変な集中力でこの上なく繊細に描ききっていました。このあたりはどちらかというと安藤さんが得意とするところですが、それにしても凄かった。さすがです。それと、石橋さんの「狂気」はほんとうに一見の価値ありです(^_^;) 映画ぶっ壊すんじゃないかという破壊力なんですが、でもそれが「特殊」にならずにちゃんと「演技」になってるんですよね~だから見ている人も自分の中にその片鱗を嗅ぎつける・・・いや、まったく心当たりないヒトの方が多いと、思いたいですが(笑)。

 最後になりますが、そして言い方が難しいんですが、この映画で同性愛を、「腐女子」でもなく「さぶ」でもなく、社会の表舞台にそのままの姿でぽんと投げ出して、他のこの世のさまざまな意匠と「同列」にとらえきった、というところが、私にとってはやはり凄いことでした。「メゾン・ド・ヒミコ」のようにおとぎ話としてそっと昇華させてしまうのもひとつの方法だと思いますが、いつもの三池監督の手法の当然の帰結として、その現実を「強行突破」でぶち抜いたこの映画は、やはり凄いことだと思いました。

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コメント

初めまして!
腐女子でもさぶでもなく普通に描ききった・・・本当に、そうですよね!!
この題材をこんな風に描くなんて、と、ますます三池さん今後も楽しみになってしまいました。太陽の傷も良かったですし。
TBさせていただきますね。

投稿: とらねこ | 2006年9月27日 (水) 23時06分

こんばんは、初めましてv
TBとコメントを、有難うございました。

見る前は、相当構えて行ったので(笑)、正直ここまで素直に心を突き動かされる事になるとは予想外でした。
三池監督の作品は、作品によってほんとーに作風が違うのですが、この映画は大好きな一本となりそうです。

投稿: contessa | 2006年9月27日 (水) 23時47分

持つ者と持たざる者。
持つ物の苦悩と持たざる者の苦悩。

『ヒミコ』は見てないんですけど(笑)、「天国と宇宙」が出てくる今作も、かなりおとぎ話だと思いました。

三池作品といえば過激なところに目が行ってしまいがちですが、個人的にはNAKA雅MURAという脚本家と組んだときのおセンチな作品が好きです。

てなわけで、TBありがとうございました。

投稿: にら | 2006年10月 4日 (水) 17時08分

こんばんは、コメント有難うございましたv

>NAKA雅MURA氏
今ネットで調べましたら(^_^;)
「中国の鳥人」(原作・椎名誠)のホン書いた人、だったんですね。
あれもあとで三池監督作品だと知ってオドロキました。
おセンチ、なるほどですv そして私もこれは大好きですvv

投稿: contessa | 2006年10月 4日 (水) 23時39分

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地球と距離が開いて光源が離れて行っても、それはまだそこに位置する訳で、存在しているように見えるという・・・この考え方それ自体が自分はとても好きだ。何万光年離れた星の爆発が、もう星自体は死んでいるのに、光源だけが地球に届いている。それはとてもロマンチックで....... [続きを読む]

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