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2006年8月 3日 (木)

トランスアメリカ

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「トランスアメリカ」見てきました。公式サイトは写真からどうぞ。






 ちょっと変わった親子(笑)の話です。性同一性障害のため段階的に手術を受けて女性になりつつある「まだ男」の人(ゲイではない)が、ある日、別れた妻の元に置いてきた我が子から連絡を受けます。男娼がバレ且つ薬所持で留置場に居るので保釈してほしいと。男性は、写真のようにほぼ変身し終わっている(笑)ので、父親宛の依頼であっても「父親」としては迎えにいけない。それで教会から派遣された福祉士を装って、彼を連れ出します・・・「父親に会いたい」とひたすら願う我が子を隣に乗せて。

 設定がとても面白かったので期待したのですが、全体にコメディー路線なのに肝心の笑いのポイントがちょっと個人的に合わなくて、もったいないことをしました(^_^;) 周りのおば様達は手を打って大爆笑してましたので、その点はどうか是非ご安心下さい。そして、二重三重に重たい題材ですが、それほど感動したり考えさせられたりする場面はありませんので、むしろ気楽な気持ちで見に行って正解だと思います。そのほうが楽しめますvv

 私が笑えなかったのは、「パパ」の中身が、「本来女性」ではなく「女性にあこがれている人」だったからです。女性ならではのしぐさや行動と「思われているもの」を追求してますし、そこがまた大爆笑、なんですが、そのなろうとしている女性が本当に旧態依然とした、ハンでおしたようなしおらしい女性で、元のパパの人格が全然出て来ていないんですよ。説明しにくいんですが、この手術を望む人は、自分を女性に「変える」わけではなく、自分の中の女性を表に出したいだけなので、出て来る女性像は千差万別、当然その人の人格を投影した「女性」である筈なんですよ。でもこのパパはそうではない。彼が目指す女性は、母親の願望の投影です。母親に愛されたいという抑圧の裏返しのようなゆがんだ愛情が生理的必然性以上に彼を手術に駆り立てる。実際に、彼の息子のほうは一緒に旅をするうちにその心根のやさしさや厳しさにふれて、パパの人となりそのものを愛するようになります。女性としてではなく男性としてでもなくトビーという名の人として。でもその、トビーの中の人を見つめているのは心理療法士と息子だけ、です。肝心の本人は自分を表に出すことを拒否している。これからは女性としての体が二重の意味でパパであるトビーの隠れ蓑になる・・・のがわかっていて、それでも本人が望めば手術は必要なんでしょうか。確かに性同一性障害は先天的なもので、後天的な環境その他の要素は関与しないものですが、このパパの抑圧状態の方を解くためには、手術よりもパパとアノ母親との関係修復が先、ではなかったかと思うんですがね。

 最後、息子と話すシーンで心なしか少しだけ、親父っぽく(笑)見えたのが救いのような気がしました。彼を中心に、この家族は再生されていく、のかもしれませんね。

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