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2006年8月10日 (木)

ハードキャンディ

Edvvqttnem

「ハードキャンディ」見てきました。公式サイトは写真からどうぞ。

 これはおこちゃまには見るのつらい映画だと思います(笑)が、私的には今年一番のお勧めです。ネタばれせずにはいられないので以下は反転にしますが一言だけ。人は、他人の痛みにはどこまでも鈍であると、今回身を以って体験しました・・・予告で話題のアノシーン、私、思わずガッツポーズしてましたよ(^_^;)

 友人がロリコン写真家とその仲間にもてあそばれ殺害された女の子が、周到に用意して復讐を遂げる話です。出会い系サイトで男を釣り、会う約束を取り付け、そのまま彼の自宅へ行きます(注:アメリカではこの時点で少女の意思にかかわらず成人男性の側が法律違反)。父からくすねた薬を入れたスクリュードライバーで男を昏倒させ、イスに縛りつけ、まずこの自称風景写真家の「秘蔵写真」を証拠品として家捜しします.少女の力ですから縛る力にも限界があり、男のほうは実に知的に言葉巧みに女の子をだまそうとしますが、彼女が本当に終始一貫冷静で、しかも(ここが大事なのですが)男をモノとして扱う視点がずっとブレない。男性諸氏はこの彼女の姿勢にとてもむかつくと思いますが、ロリコンの男もこれには平常心を保っていられません。そのせいで男の怒りは常に一触即発状態、異様な緊迫感が続きます。このあたり、ものすごく見ごたえあってほとんど会話劇なのにぐいぐい引き込まれます。
 証拠を押さえた彼女は逃げ出そうとする男を再び昏倒させ、手足をテーブルに縛りつけて「手術」に取り掛かります。どんなに泣いてもわめいても「嫌だ」「やめて」は聞き入れてもらえない・・・お分かりと思いますが、女の子は実に周到に、少女でありながら犯されると言う事が、精神的にも社会的にもそれからその子自身の人間形成的にもどれほどのダメージを与えるものなのか、「同じ理屈」「同じ手口」「同じ残酷さ」できっちり男に体験させているんです。そこが実に半端じゃない。ただの「復讐」ではないところが凄いんです。そして私なら女性がレイプされる映画なんてすすんで見ようとは思いませんが、驚いた事に当日客席の半数以上は勇気ある男性諸氏で、その「切る」シーンでは客席が異様な緊迫感に包まれました(笑)「切った」あと、タマをフードプロセッサーにかけちゃうんですが、そのゴリゴリという音ではほんとに小さく悲鳴が聞こえてきましたからね。
 ただ、ほんとにすりつぶしたらただの猟奇事件。やっとの事で縄を外した男は、自分のタマがでかいクリップで挟まれていただけと知って、余計に逆上します。私がこの映画を凄いと思うのはまさにここで、男は怒りにまかせて刃物を振り回しながら、いつしか女の子の代わりに女性の写真をめった打ちにします。そして自分が何故ロリに走るのか自分で気づくんです。女性にもてあそばれる事に耐えられない自分。その臆病で幼稚な自尊心に蓋をするために、「強い自分」を作りださずにはいられない自分。つまりそうしないと実は自分は今にも崩れ落ちしてまいそうに崩壊寸前の情けない男なのだということを、ここで男ははっきり思い知らされるわけです。そして女の子の復讐の目的も実はそこにあった。そのあまりにもむなしい動機を改めてつきつけ、男に自身を悔いて絶望してほしい。そんな幼稚な人格しか持たない人間が、成熟した体を持っているという理不尽さと恐怖を自身で感得し、、それを自分のものとして引き受けて自分で社会から葬り去ってほしい・・・彼に犯された多くの少女たちが思ったようにそんな人は「もはや人間ではない」のですから。
 男はそれでも何度も言い訳を試み脱走を企てますが、そして実は女の子の友人に実際手を下したのは男の友人だ、とまで打明けますが、その実行犯である男の友人すらもこの女の子に「自死」させられていた事を知り、犯された少女達と同じくここから先の自分の人生も闇でしかないと知ってついに自ら首に縄をかけます・・・証拠隠滅を条件に。この屋根から脚を踏み外す瞬間、男は人生で始めて心の底から悔いた、でしょう。でももう遅いのです。どんなに泣き喚いてもフードプロセッサーの中身を元通りにすることができないのと同じように、彼女達は元には戻らない。悔い改めて赦してくれるのは神だけです。
女の子も屋根の上でつぶやいています。証拠隠滅?大丈夫、しといてあげるわよ

・・・なんちゃって。


 人間は同じ人間と共に生きているということを、常に真摯に受け止めて生きていかねばならないようです。何が起きても、不思議はありません。そしてだからこそ、互いに愛し合えと言ったんだとしたら、神様はなかなか頭がいい・・・とは、思いませんか(笑)

 

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コメント

日本のネット買春にヒントを受けたと雑誌で読んだことがあります。

これを先に見てたら極楽の山本もあんなことにはならなかったかもw

投稿: 黒桃 | 2006年8月14日 (月) 15時36分

私もその記事読んだ記憶があります。
映画の中では確かに、買春の方法や会い方が日本の出会い系サイト(掲示板)そっくりでしたよ。ガイジンには目から鱗、だったかもしれません・・・いや、参考にして欲しくないですが(^_^;)

 そしてこれを見て、大変な爽快感を味わっている自分がいまして、そんなに抑圧を感じていたのかと、今更ながらちょっとびっくりしています。割と幸せな(笑)人生送ってきたつもりだったんですけどね~vv

投稿: contessa | 2006年8月16日 (水) 22時42分

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