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2006年8月 2日 (水)

美しい人

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 9人の女性の人生の1ページがそれぞれ切り取られていく、短編小説集のような映画です。どの女性も、抱えた問題の解決どころかその行く末すら見えないまま終わります。公式サイトはこの写真からどうぞ。



 「ブロークン・フラワーズ」を見て、この映画見ちゃうと、アメリカという国はどんだけ病んでいるんだとマジで心配になりますが(笑)、趣向が似ているという点で比べてしまえば、やはりジャームッシュの切り取り方、魅せ方の秀逸さに改めて気づかされる、といったところでしょうか。この映画はものすっごく重い、です。9人ともワンカット・ワンシーンで撮っていて、その独特の緊迫感もあるんでしょうが、1人ずつお話を見せてもらっていくと、正直5人目ぐらいで疲れてきてしまうんですよ・・・彼女達のどうにもならないくらい重い人生の切なさが、そのまま次々にどさっ、どさっとこっちに丸投げされてくる。仕事で一日に何人もカウンセリングを引き受けている人って、きっとこんな感じなんでしょう(笑) でも、見ている人は、何しろ9人もいるんですから、きっと誰かに共感しシンパシーを感じると思います・・・映画見ても一緒にため息つくだけですけど(笑)自分の姿を外から見るよすがにはなるのではないかと思うので。

 私は別に不倫はしませんが(笑)その不倫真っ最中でなぜか明るくラブラブなvvカップルの話が、何というか「ああ、そうだろうなぁ」と思って、ちょっとジーンと来ました。以下ネタバレですけど(^_^;)
 ・・・モーテルの廊下を、ふざけながらのろけながら(笑)帰ってくる2人。これからお部屋に泊まるご様子。そしたらパトカーがいきなり中庭に乗りつけてきて(ちょっとびっくり)右手突き当たりの部屋の住人を誰何しています。中から出て来たのは両手をあげた若い黒人女性がたった1人。早速部屋内捜索が始まるところで2人も自分達の部屋に入ります。女性だけでなく男性もかなりノリよく楽しんでいて、その2人のワクワク感がむしろ微笑ましく、あまり後ろめたさのようなものは感じさせません。ところが男性が氷を(?)買いに出た時、彼女もドアの外に出てみます。黒人女性は連行されて行ったあとらしく、部屋では係官が部屋の住人の私物をパッキングしています。ヤクでずっと追われて逃げていたこと、仲間がいたはずなのに1人だった事(フケられた?)など話すのを聞きながら、彼女は部屋にいた女性の日常に思いを馳せる。係官は、そんな感傷にはお構いなくぱっぱと詰め込んでさっさと出て行きますが(笑)ふと彼女が見ると、靴が片方、落ちているんですよ。慌てて靴を握りしめて係官のもとへ走りますが車は出たあと。片方だけ残して去った女性はまるでシンデレラのようですが、ではいったいその女性にとっての「12時の鐘」はいつ鳴ったのか。こんなシンデレラはみじめすぎます・・・  部屋に入った彼女は、自宅に電話をかけ、障害者の夫と殊勝に留守番をしている娘と話をします・・・ そこで、彼女の鐘は鳴った、ようです。紙の金冠をかぶり、悪びれた様子もなく素直に逢瀬を喜んでいる彼氏を置いて、彼女は帰宅します。 
 シシー・スペイセク、せりふのほとんどないシーンで、熱く熱く語っておりましたです。さすが。

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