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2006年8月 2日 (水)

アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶

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 ある程度以上の年齢の人なら、特に写真が好きでなくても知っているくらいの著名人なんですが、若い方はさて、どうなんでしょうね。映画見ていて気がついたのですが、彼が撮った被写体自体が、もう過去の人たちになりつつあるようです。今年見た2本目のドキュメンタリー映画。これも、今上映中の映画をはるかに凌ぐ面白さでした。お客さんは写真学科の学生さんと思しき人が多かったのですが、おしゃれでかわいいおじいちゃんが、少年のように目を輝かせて自分の写真を見せびらかす(笑)映画ですから、むしろ一般の人の方が楽しめると思います。そしてその無造作に素手でむんずとつかまれて(写真参照・笑)披露される数々の作品の、一枚一枚に是非驚いてほしいと思います。

 「決定的瞬間」というのは、この方が戦後初めて日本で展覧会をした時に、その一瞬を切り取ったようなすばらしいショット(スナップショットなんですよ、実は!)の数々に日本側が冠した名前ですが、この人の代名詞のようになっています。あのロバート・キャパが仲間と作った写真家集団「マグナム」の創立者の一人ですが、本人は(映画見てるとわかりますが)大変に社会問題に対して意識の高い人なんですが、撮る写真は、市井の人々の日常の「決定的瞬間」が多かったようです。そして写そうとする対象と、その構図と配置の仕方が独特で、ぶっちゃけまるでネタのようなんですが(笑) それが本当に面白くて、そして笑っちゃった後で、すごいな~と唸っちゃいます。というのはつまりどれも、出会い頭の偶然を逃さず瞬時に「決めた」写真ばかりで、撮りなおしや事前の準備が出来るものなど一つもないんですよ。ご本人は映画の中で、写真を撮る、という行為を「短刀でスパッと切りつける」と表わしておられますが、私に言わせると、これは辻斬りです(^_^;) 凄いですよ~ほんとにいきなり現れて狙い過たず一刀のもとにパッサリ・・・だから「決定的」なんでしょうね。

 もう一つ面白いのは、この人はポートレイトの名手なんです。その各界有名人を撮った写真は、その人のファンであればあるほど驚愕する、本当に意外な素顔をその仮面の下から引き出して魅せています。マリリン・モンローやシャネルの写真は割と有名ですけど、それ以外の人も、その作品や人となりを知っていて見ると、笑えたり凄く納得したり出来ておもしろい。私は、ジャコメッティとか、ボーヴォワールとか、ピアフ、ベケット、ルオー爺さん、コレットあたりがほんとに愉しかった。あとバーンスタインが傑作で、アンリ氏に言わせると「あんなんで拍子取れるのか?」という事らしいんですが(笑) たぶん楽団員しか見た事ない筈のあの伝説の「王の咆哮」が、流れるような美しい腕の動きとともにしっかりと収められていました・・・うっとりvv   他にも、先日見た「ゲームの規則」の監督ジャン・ルノワール(アンリ氏は助監督だった)とか、マッカラーズ、マティス、ベーコン、ガンジー、サルトル、バウンド、カミュ、デュシャン、マンレイ、ボナールやカルダーなどのポートレイトが見られますので、ファンの方、期待して下さい(笑)

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