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2006年7月28日 (金)

ゲームの規則

035

「名物にうまいものなし」という俚諺はだいたいアタリだなぁと思う私ですが(笑)映画でも、名作・大作と呼ばれるものの中には必ずしもアタリではないものがあります。たとえば「この時代にココまで撮った凄さ」とか「~~を始めて採用した記念碑的作品」とかもっと単純に「~~で賞を取った」とかいう、いわゆる外側の理由で太鼓判押されているものの中には、正直、今スクリーンに掛けられている映画を押しのけるだけの力は持たないものもあります。でもその一方で、今ロードショーになってもお金払って見に行ける凄い「名作」もあります。
 この映画は、世界の映画批評家が10年に1回投票する「世界映画史上ベストテン」で、発表から50年以上を経て、10年毎に毎回順位を「上げて」来ているという怪物。1番直近の2002年には何と第3位まで登りつめて来ましたから、ただの昔懐かしい白黒映画ではないことがお分かりいただけると思います。
 ひとつ、たぶん観客の側が変わったなと思われるのは、公開当時はたいへんに破天荒ではちゃめちゃでわけがわからなかった(ので大幅カットされ公開は打ち切られフィルムも一度紛失した)とされているこの映画独特の表現が、今見ると、大変に生き生きとしてあざとさや芝居臭さのない、自然で明るくのびのびとした演技として、むしろ大歓迎される点です。今は演劇学校などでは、授業でよくこの映画を見せてもらえるらしいんですが、それまで学んだすべての技法をこの戦前の映画に一瞬にしてすべてひっくり返される、という意味で、かわいそうな役者の卵さんたちは訳わからなくなるらしいです(笑)。しかも一見何もしていない「かのように見える」実は物凄く凝りに凝った作品で、1番鍵となる人物を熱演しているのが、実は出演料に折り合いが付かなくて結局自分で出ることにした監督本人。ほんとうにド素人(大爆笑)。
 この監督は、何とアノ印象派の巨匠ルノワールの次男で、その半端でないこだわりが画面の上に溢れかえっていますが(それでお金が足りなくなって自分で出る事になった・笑)、それだけではなく中に出てくる役者に、「その場面に必要なある感情を取り出して魅せる演技」ではなく「常にその全人格を映像に映し出す演技」を要求し、それを映し出した監督の手腕に、私は心の底から敬意を表します。

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