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2006年7月 4日 (火)

転々

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藤田宜永作。この写真の本は文庫ですが、うちには初版本があります。奥付を見たら1999年4月30日となっていました。
藤田氏は奥様が小池真理子氏で、世に出るのも直木賞を受賞したのも奥様のほうが先でしたので、そのことで一時話題になった事がありました。小池さんの受賞は1995年。この作品の頃はまだ奥様のほうが時代の寵児としてご活躍でした。私も当時、藤田氏は単に好きな作家の一人、でしかなかったです。頭でっかちに先走るタイプの抒情詩人、といった感じで、まだその粗さばかりが目に付きました。

それがどうしてこの本だけ手元にあるかというと、この話に限っては、どうも虚実織り交ぜるうちの「実」の部分が多かったらしい。それで、氏の作品の中では比較的事実関係に無理が無く、ディテールや設定に引っかかる事無く読み通す事が出来たんですね。(唖然とするようなミスもまだたくさんありますが)。で、作品として読んでいくと、珍しく主人公以外にもう一人、心を配って書いている人がいます。それがこれ以降藤田氏の作品にさまざまに形を変えて出てくる「中年オヤジ」の原型。私は当時俳優の山崎努さんが大好きで、つまりはオヤジスキーで(笑)、まだオヤジが「かっこいい」小説はあまりなかったので、この本の中に出てくる福原という「天国と地獄を同時に見ているような」目をした四十七歳の男に本当に惚れこんでました。読みながら山崎さんを当てていくと、その怒声と色香と破壊力と寂寥が、ステロタイプで無味乾燥な描写の間から文字通り匂い立ってくるようで、本当に愉しかった。昨日ひさしぶりに読み返して、今の山崎氏だとちょっと油が抜けかけているか、と思いつつも、まだまだ佐藤浩市ではカワイソウだし、ほかの役者さんでは悪品が足りなさすぎるし、やっぱり最後は山崎さんを当てて読んでましたね。連れとなる学生さんは、今なら加瀬さん、でしょうか。ちょい悪オヤジをはるかに通り越したダメダメオヤジですが、オヤジスキーにはたまらない「死なず消え去る老兵の生き様」を堪能できます。もしご興味のある方は是非どうぞ。

そして知り合いのある方が、ネットに出ている情報を確認して下さった所によると、本当にこの作品の映画化は決まっているそうです。スケジュール調整がつき次第(秋ごろ?)撮り始めるとかで、主演オダギリジョーもまずもう動かないらしい・・・なんか、ちょっと、びっくりなんですが、詳しくは、公式等で発表になるまでお待ち下さい。そして企画をなさった方、オダギリ氏に話を持ち込んだ方は、ひょっとしてひょっとすると初版本の表紙さし絵を見て、インスパイアされたのかもしれません・・・こちら(笑)↓



スクラップヘヴンその後?


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コメント

配役はどうやら
「中年オヤジ」  三浦友和
「学生」     オダギリジョー
になる模様


そっか、何だか久しぶりにすっきり美しい青年オダギリ氏が見られそうで嬉しいですね。
三浦氏が中年・・・時代を感じますけど(笑)斜に構えず真正面からオダギリ氏をねじ伏せるだけの「強さ」は持っている方だと思います。この小説で藤田氏のイメージする「借金取り」の、ある特別な一面を、うまく引き出してくれそうで、楽しみです。

実はロケ地がほとんど「東京タワー」とかぶっているので、この間から錯覚しまくりなんですが(笑)さて、いつ撮るおつもりなんでしょうかね。

投稿: キャスト | 2006年9月 3日 (日) 22時28分

はじめまして、検索から飛んできました。
「転々」の映画化をとても楽しみにしている一人です。
また原作者の藤田さんからお話が聞ければ私のブログにもアップしますので時々のぞいてみてください。
ミクシィ探したけどわからなかった・・・。

投稿: ジロ子 | 2006年9月25日 (月) 10時43分

ジロ子さま

はじめまして。
こんな小さなブログにまで来て下さって有難うございます。
そして実は・・・いつもみんなでこっそりジロ子さんのブログにお邪魔しているんですよ(^_^;)すみません、本当にお世話になりっぱなしで、有難うございます。

藤田作品の映画化は「転々」より先にもう一本、もう撮り終えているとか伺っておりますが
この作品も、実は小説の舞台が今の私の生活圏で(笑)情景が手に取るように目に浮かび、今から大変楽しみにしております。

またこっそり(笑)伺わせて頂きます。今日は本当に有難うございました。

投稿: contessa | 2006年9月25日 (月) 19時25分

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