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2006年5月19日 (金)

美しき運命の傷跡

Index_01 「美しき運命の傷跡」見てきました。公式サイトはこちら


 フランス人ってさ~、といきなり大上段から振りかぶりますが(笑)。基本的にラテン気質で、スパニッシュやイタリアンに負けず劣らず直情径行なヒトタチなんですが。まわりをアングロサクソンに囲まれているせいか、どうもそれをストレートに出せずヘリクツを捏ねては自滅している。そんな感じがします。ジタバタしている自分の姿すらも「かっこ悪い」ので正面から見ないですぐ蓋をしてしまう。その結果、「自分を一歩引いて見る」という視点が、なかなか育たないらしいんですね。何でもすぐのめりこんでしまうのはある意味いい事で、そういうトコ大人も子供もとても可愛いんですけれど、そのまま独りよがりに行きつくところまで行ってしまう。そこで一歩下がって「今のアタシはちとおかしい」とは思わない(笑)。でもそれならそれで、別の誰かが止めてあげたほうがいいと思うんですけどね(笑)。かの国で集団ヒステリー的に「たいしたことない些細な出来事」がすぐ「大事件」になる原因は、単純にその辺りにあるんじゃないかとすら思いますよ。だいたいあれだけの美意識と感性を遺伝子に組み込まれているヒトタチなのに、国内で一も二もなく褒め称えられ熱狂的に大ヒットした映画が「皇帝ペンギン」って・・・(^_^;)その映画鑑賞センスを問う前に皆さんどんだけ普段深いトラウマを抱え込んで日々御過ごしなのでしょうか、とシンバイになります。まぁそんな私がこの世でイチバン信奉する哲学者はバタイユなんですが(ダメじゃん)。

 で、正直言いましてこの映画にも、そういう、見ている人をス~ッと引かせるものがあります。おしゃれで可愛い映画なんですが(意匠・映像の壮麗さ、センスのよさはホントに秀逸)結局は本人達だけが妄想たくましくし、事実関係も確認せずに人を殺めて勝手に盛り上がっている話。それは傍から見たら不愉快を通り越してジョーク以外の何物でもない。笑うしかないですよ、ほんとに。これをもって「心の傷」とか言われてしまうと、もう怒る気にもなれません。そうではなく、大仰に「トラウマ」などというという型にはめずに、それこそ一歩引いて、彼女達のおかしな日常を笑いながらじわじわと解き明かしていったほうが、もっとその繊細な心の襞を、翳りを、鮮明に描き出せた気がして仕方ありません。彼女達の持つ悩みは、父親が変質者であるかどうかに関係なく(笑)、つまり原因は様々でも、どんな女性にもある、本当に時代も社会も越えて共感できる、ごくありきたりの恋の苦しみ、なんですから。

 その恋の炎に身を焼かれる、あるいはその業火の手前で立ちすくむ彼女達の姿そのものは、本当によく描かれていました。これは監督が変わった分、切り口がより斬新で繊細になったのだろうと思います。本当に「よくあるシーン」が、今までにない面を照らし出されて新鮮に映りました。これは監督と、それから三大女優の仕事ぶりも手放しで褒めるべきでしょう。人の内面に踏み込んでいく姿すらも美しい、その求心力と執着心のスゴさは、さすがとしか言いようがありませんでした。

 以前だったら巨匠が撮ったフランス映画、と言うだけでお客さんがコンスタントについたものでしたが、昨今はそうでもなさそうです。もし、これを「観客の目が肥えた」と呼んでいいなら、私は先達の数多の邦画映画監督に、改めて深い敬意と感謝を表したいと思います。。。




 

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