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2006年5月10日 (水)

隠された記憶

Hidden公式サイトはこちら。
うーん、オダギリジョーは今年のカンヌで一番、と言ってましたが、そんなに今年は不作だったんでしょうか(^_^;)あまりにうすっぺらな出来に、頭を抱えた一本でした。薦めたのがオダギリジョーでなければ殴っていたところです(怒)。

 とりあえずある種のフランス人には大ウケだったと思います。何の脈絡もなく証拠すらなく「容疑者」に仕立て上げられたアルジェリア人が、義憤のあまり憤死する・・・それだけで痛快だと声を上げて笑う「知識人」が残念ながらフランスにはずいぶん多いのです。あちら発の資料を読む時、他国の人が気を付けなければならないバイアスのひとつ。日本の、ある年代から上の方たちが中国・韓国に向ける「感情的」なしこりにも、それはよく似ています。でもだからといって、アルジェリア人をはなから疑い、それを映画の中で当然の事のようにして扱い、さらには溝を深くすることに、いったい何の意味があるんでしょうか。そこに何の葛藤も感じていない主人公は、まさしく「フランス人」なんでしょうが、この監督はフランス人に媚びて賞が獲りたかっただけなのか?と勘繰りたくもなります。
 しかも映画の中ではそういった背景はまったく生かされず、いわば別の次元で問題が更に悪化していきます。原因は民族問題でもなんでもなく、「被害者」であるフランス人の男の、事実を洗い出す事すらできない、ただひたすら感情的な態度。ジュリエット・ビノシュが好演しているだけに、余計にこの主人公のふがいなさに腹が立ちます。自分の抱いた妄想に取り付かれ縛られ、思い込みのままに周りを傷つけ続ける、そういういわば「甘ったれているだけの男」の話を見て共感しろといわれても、どうかと思いますよ。各映画評を見ても男の人がヨロコびそうな話であるのはわかるんですが、傷のなめあい、狎れ合いですね~。

 

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コメント

 トラックバック、コメント、ありがとうございました。感謝致します。また、返事が遅れました。すみません。
 多くの人が「好評」とされていますが、私は前半部分をみつめただけで、ラストに近づくにつれ、どうでもよくなりました。私の愚脳では、理解できない。理解できない作品は映画評論とせず、ショートコメントとしてまとめました。
 しかし、知識豊富の上に基づいた評論を書いてらっしゃいますね。感心しきりです。拝読させていただき、感謝致します。
 トラックバックが反映されないので、コメントでおゆるし下さい。  冨田弘嗣

投稿: 冨田弘嗣 | 2006年6月19日 (月) 00時49分

冨田弘嗣さま

いきなりお邪魔しましたのに、わざわざこちらまで来ていただいて、本当に有難うございます。
カンヌでの受賞作品ということで「よくわからないけど何となくよかった」というコメントが多かった中、冨田さんの、映画に真摯に向き合ったご意見には本当に感動しました。
私のように、映画の外側から邪な見方をしてはいけない、というのも重々わかってはいるのですが(^_^;)今回はあまりのことに落胆を抑えきれず、お恥ずかしい限りです。

また拝見しにうかがいます。どうぞ宜しくお願い致します。

投稿: contessa | 2006年6月19日 (月) 20時52分

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