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2006年5月28日 (日)

「ビッグリバー」舞台挨拶(2)

2回目の舞台挨拶。これはプレスが入りましたので、既にネットニュースになっています。記事と、私の駄文に違うところが多々ありますが、それはもちろん記事のほうが正しいので(囲み取材記事も入っている模様)、先に、巷間「今までで一番かっこよかった」といわれる今回のオダギリ氏の雄姿とともに、是非記事で事実をお確かめ下さい(CINEMA TOPICS



監・「えー、船橋です。えー、9.11以降、アメリカの社会はいろいろ変ってきたんですけれども、移民から見た社会の変化ということで作った映画です。「ビックリバー」という題ですけれども、これはアメリカが、そういった人種が多く流れこみ一つになって流れていくということをあらわしていています。どうぞ宜しくお願い致します。」
O・「オダギリです。今日はアメリカの方からマイケル・ジャクソンが来ていまして(笑)、「嫌われ松子の一生」も公開という、そういうイベントの多い日に、この「ビッグリバー」も初日を迎えました。マイケル・ジャクソンは裁判以降、人前に姿を現すのが日本が始めてということで、マスコミ各社もたいへんだと思いますけれども(笑)、こちらも負けないくらい、元気ハツラツで(笑)頑張りたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。」
司・「有難うございます。それではまず監督に、この映画に込められた思いというものをうかがいたいのですが」
監・「そうですね・・・「シリアナ」とか「クラッシュ」とか、人種問題を描いた映画が出てきていますが、やはり短絡的に描けるものではない。日常接しているムスリムの人、アフガンの友達、イスラムの彼女・・・まぁ彼女はいないですが(笑)それを白人の側のレベルで論じたところで限界があるわけで、それを同じ目線で、彼らの目線で描く、そういう映画があってもいいんではないかと思いました。そして、この映画ではそういう人々の姿を描いていくなかで、決して政治的な意味合いを持たせたくなかった。僕は自分の肌で感じたことをみなさんにも感じて欲しいんです。映画の現場でも、イスラムのカビィやアメリカ人のクロエ、スタッフもそれぞれとても国際的だったんですが、そういう中での共同作業を通して、得るものは大きかったと思います。」
司・「オダギリさんから見て、共演者の方々の印象は」
O・「カビィは、現場に普段からいいムードを作ってくれるような人でした。面白いおじさんで、現場でもいつも笑わせるようなことをして、ベテランだからこそ出来るひっぱり方、でしたね。クロエは、映像の仕事がこれが初めてで、僕もアメリカの仕事が初めてで、初めて同士緊張しながらもだんだん打ち解けていきましたね。彼女は、とても気を使ってやさしく接してくれていました」
司・「英語の面でもアメリカの役者として指導してくれたりとか、うかがってますけれども」
O・「えーと・・・・実は、そんなには指導はしてくれなかったんですよね~(場内爆笑)自分のことで考えても、もし僕が外人の方と組んで、日本語で芝居をやるとなっても、相手の言葉を直したりはしないですもんね。それもその人の持ち味ですから。どちらかというとスタッフの方が教えてくれましたかね。えーと、ケアロ・・・なんでしたっけ、監督。スクリプターの」
監・「キアロハね。」
O・「そうそうキアロハさん。2日目からスクリプターという(笑)」
監・「ハワイ系の人なんだよね。で(司会者の方を向いて)最初いた女性のスクリプターが、撮影2日目にして逃げちゃったんですよ。
それで急遽・・・」
O・「小道具さん・・・かなんかでしたよね」
監・「そうそう、小道具係」
O・「それが一気にスクリプターに昇格!みたいな(笑)」
監・「そうだったんだよね~なんとなく、頼んじゃった(笑)」
O・「(笑)・・・彼女はいっしょに写真も撮ることが苦手なくらい、女性的な面も持っていましたね。若いけどしっかりしていました。で、この人に教えてもらって、とても勉強になりました。トーンのつけ方とか、せりふの、ここじゃなくここを強めに言ったほうがいいとか。撮影に入る前にはキアロハさんに10~20分講義してもらってそれで入る、みたいな感じで、それがとても貴重な時間でした。」
司・「では今日ここにいるにあたって、一番感謝しているのは・・・」
O・「キアロハさんのおかげですね(きっぱり)」
司・「それも出会いの大切さというか・・・」
O・「出会いって大事です。本当に(深く頷いてみせる)」(笑)
司・「監督にお聞きしますが、この「ビッグリバー」という題にはどういった意味が込められているんでしょうか」
監・「いくつかあってですね。ひとつは、アメリカという国は移民がたくさんやって来て国になっている。それが支流が集まって大きな川になるような感じに見えたんですね。そういった、アメリカの移民経済の現場といったものを描きたかった。もうひとつは、このアリゾナのモリアット・バレーは広大で豊かな大自然、なんですけれども、水がないんです。その「水が欲しい、潤いがない」ところで「ビックリバー」という映画を撮る事で、逆に何か感じることが出来るのではないかと思いまして。」
司・「オダギリさんにお聞きしますが、留学なさっていたそうですが、その経験は生かされましたか」
O・「もちろん(ちょっと顔色が変わる)」
司・「えーと、それはどんな風に・・・」
O・「どんな風にって・・・」
司・「あ、えーと、留学なさっていた時と比べてどう変わったかとか(^_^;)」
O・「どこが、ですか」
司・「えー、オダギリさんの中で何か感じ方が変わったとか(大汗)」
O・「(ここでやっと答える気になって真面目に考え始める)うーん、そうですね・・・・留学していた時は僕が結構引いていましたね。アメリカもアメリカ人も嫌いでしたし。でも今回現場に入ってみたら、アメリカ人にもいいやつがいるんだなと思いましたし、どっちかっていうと僕のほうが偏見を持っていたんだという事がよくわかりましたね。あの現場は本当に最高でしたよ」
司・「監督は「アカルイミライ」という映画をご覧になってオダギリさんの出演を依頼なさったそうですが、それはどのあたりからだったんでしょうか」
監・「2つありまして、1つは廊下で掃除機をかけているシーンですね。ただ壁にゴツゴツ、ゴツゴツぶつけていて、掃除にすらなっていないんですが、とんがった感じ、そこに複雑なものを抱えている感じがしたんですね。ただものではない、と思いました。あとは最後のシーンで藤竜也さんを大事に川から抱き上げて来る場面。これは単なるイケメン俳優ではないなと思いました。」
司・「オダギリさんは、テッペイという役をどのように作っていかれましたか」
O・「・・・・・・(少し司会者のほうに向き直る)」
司・「あ、役作りの上で何か参考になさったというか考えるきっかけがあったという監・・・」
O・「・・・その、何について答えればいいんでしょうか。」
司・「あ、えーと、たとえば撮影が始まると、パッとテッペイになれるというか、そういう感じですか」
O・「・・・・・・・(視線離さず)」
司・「・・・愚問、でしたか」
O・「愚問でしたね(きっぱり)」
司・「失礼しました(^_^;)え、この役を演じる時はどのようなお気持ちで・・・」
O・「・・・僕は自分の役を監督の分身になったつもりで演じました。この役を演じることは、その時は今しかできないと思ったし、それでこの役をお受けしました。監督とは年が2つ違い、ですよね?」
監・「1つだよ」
O・「え?」
監・「俺74年だもん」
O・「(いきなり)えーーーっウッソーーーーー!」(笑)
監・「そうだよ、学年で1つ違い。」
O・「えーーー・・・・えっと、何月生まれ・・・」
監・「5月。君は?」
O・「僕は・・・5、6月(場内爆笑)・・・っじゃなくて2月・・・」
監・「ね、だから僕が3年生の時に君は2年生。」
O・「えーそうなんですか~1つ違いかぁ・・・(気を取り直して)で、こういう年が近い監督と仕事ができるってことはすごく嬉しいことなんです。ひとつしか違わないのにこんなにきちんと、何でもちゃんと仕事できるんだって監督には感じさせられました。」
司・「それもよい出会いだったと。」
O・「(また大きく頷いて)素晴らしい出会いをさせていただいたと思います。」(笑)
司・「この映画では出会いが大事、でしたか。」
O・「出会い、でしたね」
司・「では最後に、これから映画をご覧になる方に向けて、映画について一言ずつお願いします」
監・「雨が降るシーンがあるんですが、そこを是非見ていただきたいと思います」
O・「ゆっくりとした時間で流れる映画、なんですね。で、見ながら何か別なこと考えて、また映画に戻ってきて、それが合わさってみると面白いし、そういう楽しみ方も出来る映画です。クライマックスがエンディングに向かっていく中で、ものすごい景色が現れるんですが、そういうところも是非お楽しみ下さい」

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コメント

初めまして、contessa様。おはようございます。 
小次郎様の所で、いつもお世話になっている、ぴぃです。
“ビッグリバー”の舞台挨拶を2回ともご覧になるという、私からすれば、夢のまた夢のような体験をされたにもかかわらず、とても冷静にレポされていらっしゃるご様子に驚きました。
オダギリ氏だけでなく、監督のお話もレポされていて、映画への想いいれや、司会の方を含めた3人の関係?(舞台上の雰囲気?)も感じ取れるようです。(速記?をされたのでしょうか?)

沢山映画をご覧になって、興味深い感想を書かれていらっしゃるので、
“ビッグリバー”自体の感想も、是非読ませて頂きたいです。

投稿: ぴぃ | 2006年5月29日 (月) 10時00分

ぴぃさま

こんにちは、初めまして。
いつもお名前は小次郎さんの所で拝見しております。こちらこそお騒がせ者でホントに申し訳ありませんv

それと、こんなボロボロのレポを丁寧に読んで下さって本当に有難うございます。
書き起したものは何の私情も入っていませんが、書いてる本人はドキドキしてますよ(笑)。速記ではなく、キーワードを書けるかぎりどんどん羅列していって、あとでそれを手がかりに思い出すんですが
今回は、お話聞きながらうっとりしてしまって(^_^;)正直、途中何度か手が止まってたんです・・・それが証拠にネット記事読むとオダギリ氏、2回目に英語の演技を方言に譬えていたらしいんですが、そこは私の記憶からもメモからもきれいさっぱり抜け落ちております。ダメダメです。

「ビッグリバー」という映画そのものは実は試写会で拝見しております。よければその時の記事をごらん下さい。
http://contessa.txt-nifty.com/blog/2006/02/big_river.html

今度ぴぃさんがご覧になった感想も聞かせて頂ければ嬉しいですv

投稿: contessa | 2006年5月29日 (月) 20時07分

お早うございます。
先ほど、試写の感想をよませていただきました。  
試写、二月だったんですね。たぶん試写会に行かれたのでは、とブログを遡ってみたのですが、見つけられず、お手数をお掛けしてすみませんでした。

“日本的”で“ボーダーレス”、“間が多い”し“見ようによっては、間が抜けた映像”(間=行間ではない、ということでしょうか?)。
普段シネコンなどで、判りやすい娯楽作品ばかり(時には、子供に付き合ってアニメも・・)見ている私には、起きているのがキツイかもしれません。
ただ、TVで見る予告は、“風景”がとても美しいので、見てみたい感じはします。(そういう見方は監督には不満でしょうね・・・しかも、オダギリ氏が鑑賞の第一目的ですし・・)
“すぐ渡れそうな大河の両岸?に立ち尽くす三人・・”そもそも、河を渡る意志があり、必要性を感じているのか・・。

二月に御覧になった試写と今回の物では、変更になった箇所はあるのでしょうか?(何となく気になって・・)

投稿: ぴぃ | 2006年5月31日 (水) 09時43分

こちらこそ、探させてしまってすみませんでした。たいした事は書いていないし、皆さんどうせ外からの検索でいらっしゃるので、今まで書いたら書きっぱなしだったんですが(^_^;)検索窓でも借りてこようかと思います。失礼致しました。

「ロード・ムービー」っていうジャンルが普通あまりなじみがないですよねvでも、景色とオダギリ氏の美しさは充分堪能できると思いますよ。私は「スクラップヘブン」が好きだといっていた人に「ビッグリバー」お薦めしているんですが、ぴぃさんはそのあたり如何ですか。

変更は、細かいところでたくさんあったように思います。あと、前にはなかったシーンやカットがいくつか足されていて、より映画の中に踏み込みやすくなってましたです。

投稿: contessa | 2006年5月31日 (水) 11時14分

というわけで、検索窓つけました。

何のことはない、Googleでブログの中だけを対象に検索するようタグを貼っただけ(^_^;)
借りてきても良かったんですが、
どうせうちの記事はGoogleでhitしてるし、「ラバーダック」気に入っていて他のロゴを並べたくなかったので。

ぴぃさん、ご指摘有難うございました m(_ _)m

投稿: contessa | 2006年6月10日 (土) 13時51分

ヒヤァー!!私の所為でワザワザそんなことまで・・・、今の今まで気付きませんでした-。(恐れ多い事で御座います(アセ、アセ)。)

先日、神戸まで行きまして、やっと“BIG・RIVER”と“ゆれる”を観て来ました。
“~・リバー”では、つい、ウトウト・・・。
風景は、美しいというより、乾き、寂寥、を感じました。(当日、暑い中歩き回って疲れたせいか、“テッペイ”が“アリ”からもらった僅かな水を飲むシーンが羨ましくて…)
登場人物(心情など)については、“アリ”は私には分り易かった…一応の決着がみられた様ですし…。
“サラ”は、中盤から、そうゆうキャラなの?(砂漠に住む、ある意味自立した強い女だと思っていたので…。)“テッペイ”だから?そこから連れ出してくれるなら誰でもよかったのか?そのヘンのところも…。
“テッペイ”はラストで、えっ~、そうくるか~! と、ナンか納得いかない感じでした。
一人ぼっちで心細く、悲しい、寒い夜を明かした三人が、何を考えていたのか…だから?翌日の出会いのシーンが一番好きです。

“ゆれる”の感想は後日、“ゆれる”のコーナーに。

投稿: ぴぃ | 2006年8月10日 (木) 15時30分

コメント有難うございます。
おかげさまで検索窓、たいへん好評を頂いております。いかにうちがぐちゃぐちゃでみなさんお困りだったか(笑)よくわかりましたです。これからもいろいろお教え下さい。宜しくお願い致します。

>寂寥
そうですね、夏見るとたまらなく臨場感あるかもしれませんね(笑)
私が映画から感じたのもぴぃさんと同じで、つまりあの壮大な風景を寂として呑み込んで撮っちゃうところが、監督の日本的な心の強さだと思うし持ち味だと思うんですよね。それが少なくとも私やぴいさんにはしっかり伝わって来ているわけだし。
テッペイは、例によって例のごとくオダギリ氏が後半だいぶアドリブしたみたいですね。私はアリに車から置いていかれて、真っ暗闇の中に残された時の、オダギリ氏のあの叫び声が忘れられません。その恐ろしいまでの孤独が、オダギリ氏の人生のいろんな場面と重なって、なんだかすごく生な感情としてこちらに飛び込んできて、思いがけず見てはいけないものを見てしまった、ような気がしました。凄く深い闇、でしたね。

投稿: contessa | 2006年8月10日 (木) 16時39分

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