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2006年4月21日 (金)

浅野忠信特集

SWITCH vol.24 No.5に、浅野忠信特集が出ていました。

 えっと、浅野さんその服はどこから?!という衝撃の(笑)表紙ですので、本屋さんでもすぐ見つかります。本当にこの人は変わったなぁ、周りにやさしくなったなぁと(^_^;)正直思います。
 原田芳雄さんを例に挙げるまでもなく、日本映画は、映画界の財産として、それぞれの時代にそれぞれの時代の「怪物」を飼っています。浅野さんもその1人でしょう。こういう、人間を超えた存在感というものを体現できる、破綻した人格を内包した人。それを飼い続けていられる日本という社会文化のもつ懐の深さを改めて思います。誤解のないように言えば、浅野さんは、このインタビューでも言っている様に、決して矯められたのではない。その中に棲んでいるうちに自発的に変容を遂げてきて、今の浅野さんが在るのだと思います。
 記事で面白かったのは、「アカルイミライ」で、もう演技には「飽きた」と思った、という話。そこを転機に浅野さんは、今の「嫌いな事でもやってみよう」という優しい路線、私達の側からすると「本格的役者路線」に腰をすえたらしいです。映画ではストーリーの都合で最初の方だけで居なくなってしまう役ですが、役としての存在意義以前に、その充満感(熟れたとか爆ぜたとかではなく、ただ満ち満ちた感じ)が、消えるという結果を促しているのが、映像を通してガアアアッと伝わってきてました。当然そう撮れるから黒澤さんも浅野さんを使ったのだと思いますが、浅野さん自身の中にもそういう内的事情が在ったのだと思うと、浅野さんが「運がいい」と常々言う、巡り合せの不思議さ、もって生まれた運の強さを感じます。そして、これはオダギリジョーには過酷な撮りだったんだなぁと、記事読んで今更ながらカナリ同情しました。ぶっちゃけ今、同じ雑誌でオダギリジョーが「自信」と呼んでいるものに、浅野さんは4年前にもう「飽きていた」わけですから。最初の前提としてオダギリジョーは美しいですから(笑)絶対怪物なんかにはならないですし、役者となった過程も目指すベクトルも全然違うからそれはそれでいいのですが、演技に対するスタンスとして、これだけ「達観」した人がそばに居たら、何をやってもそれが自分にはね返ってきてホトホト嫌になるだろうなというのは容易に想像つきます。自分が今この現場で孤立無援なのは自分の演技力のせいだ、と日々有形無形に突きつけられて、それで演技がウマくなるでしょうか。ムチャです(笑)
 同じ雑誌に、水野美紀さんがインタビュアーとして出ていました。この人の写真はとても硬質で、物との距離感が独特で、話の中でもその「被写体との距離」が話題になっていましたが。水野さんに対して「物にはよるのに人は遠くからしか撮らないんだね」と言った人がいた由。こういう、水野さんのためにではなく、わけもわからずただ自分の創造力を喚起する為だけに人に対して「壊し屋」的な発言を繰り返す刹那的な人が、ギョーカイにはいっぱいいるようですが(笑)、そういう人に振り回されている間は、人間得るものは何もありません。同じ追い詰められるのでも、相手が浅野さんだったオダギリジョーは、ある意味幸運だったんだろうと思います。

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コメント

昨年か一昨年、浅野さんが徹子の部屋に出演された時に俳優の仕事について
"数年前まで好きな音楽をするために嫌々していたのが俳優の仕事だった"と
語られていました。
デビュー当時マネージャーがお父様で仕事場でも家でも逃げ場が無く
日々ぶつかりあっていたそうです。
同番組では考え方が変わったとは明確に発言されていませんでしたが
"ある時を境に俳優っておもしろいかも?"と感じたそうです。
世界の浅野さんですがそんな彼でも天職に気がつかない頃もあったんですね・・・
考え深いです。

投稿: 黒桃 | 2006年4月21日 (金) 10時04分

それ見ました~vv
浅野さんと徹子さんというのは、今考えても凄いセッティングでしたよね。
でも徹子さんの父上もN響の伝説的コンサートマスターで、弟さんはヴァイオリニストとして文字通り日々激突して(笑)ましたから、徹子さんも浅野さんの話に感慨深いものがあったんではないかと思います。

私が「世界の浅野だ~」と心底ビックリしたのは、ソニア・リキエルが、知っている映画人の名前として「ASANO」をあげてた時です(匠守かと思った・笑)。いや、ソニアのモデルなら、普段からゼニア着ているオダギリジョーという俳優のほうが絶対いいですって、とこの時ばかりは真剣にツッコみましたよv
彼女が浅野氏からどんな(!)インスピレーションを得るのか、聞いてみたかったです・・・

投稿: contessa | 2006年4月21日 (金) 22時25分

私が浅野さんを初めて生で見たのが地元の映画館で「アカルイミライ」の舞台挨拶があったときなんですが、そのときはO氏はいなくて黒沢監督と浅野さんだけだったんです。
それまでの私の浅野さんのイメージと言えば、あの切れ長の目から放たれる殺気さえも感じさせる狂気と全身から漂う息苦しいぐらいの重圧感(もちろん私が見た範囲の役の上での印象なわけですが)
それが、物静かな監督の横でにこにこ、にこにこ、こんなに穏やかな人がいるでしょうか~と思えるほど物柔らかな空気を放っていました(笑)
今回の特集を読んで、あぁ、浅野さんはこういう人だったんだなぁ~ってあのときに感じたものを思い出しました。
次回、浅野さんとオダギリの共演の機会がすごく楽しみです。

投稿: luckystriker | 2006年4月22日 (土) 11時21分

luckystrikerさん

こんばんはv書き込み有難うございます。

私が1番最近浅野氏に会ったのは、こないだの地元の映画館のオールナイトで、加瀬さんとトークイベントして下さいました。その時も書きましたが、ほんとに穏やかな、やさしい人ですよね。ちゃんと常識人として通用する、というか(殴)。でも同じこの雑誌に、「花よりもなほ」を撮った行定監督の、浅野さんへのお手紙もあって、そこに書かれた鬼気迫る「怪物浅野」も、同時に物凄く納得です。役を作るのがご本人楽しいそうですが、作ってできる怪物ではないような(^_^;)

私、井上靖氏の小説の中で「蒼き狼」はかなりハマッたんですよ。で、浅野氏=チンギス・ハンは、これ以上ないほどぴったりなキャスティングだと思いました。ある意味朝青龍よりソレらしいかもv写真見て今からとても楽しみです。

投稿: contessa | 2006年4月22日 (土) 22時58分

たびたびすみません。
そうそう、思い出しました!
浅野さんはたしか「コインロッカーベイビーズ」にも出演されるんですよね?
どちらの役をするのかはわかりませんが、あの小説には衝撃を受けたのでこちらも楽しみです。(でも、ちょっと年齢に無理があるような…殴)

投稿: luckystriker | 2006年4月23日 (日) 00時04分

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