« オリコン1位v | トップページ | 「パピリオン山椒魚」 »

2006年4月12日 (水)

プロデューサーズ

Pro6「プロデューサーズ」観て来ました~公式サイトはこちら
これは凄かったv本当に凄かった!どのくらい凄かったかと言うと、映画館出てすぐ、私は「サントラ」買いました!!!
以前も書きましたが、私は映画や舞台で役者が歌う分には、その音楽性には目をつぶることにしています。音が外れているとか声が出来てないとか、あげつらったらきりないですが、それよりも、人の心を湧き立たせる「力」がないからです。歌手ではない、というのはつまりそういう事。技術ではなく才能がないから、心を傾けても意味がない。でもその場合は歌は「我慢」してそのほかの部分を楽しむのが、観客としての礼儀でしょう。ぶっちゃけその程度の料金しか払っていないですしね(笑)

Produsers ところがvvこの映画は、もう最初の"Opening Night"から全編、まったく我慢しなくていい!音楽を聴く耳、に切り替えてこそ楽しめる、震えが来るほどの職人芸の数々が惜しげもなく披露されます。ナンバーが終わるたびに映画の画面に向かって拍手するなんて、私は初めてでしたよ(笑)それもその筈、この映画では、今日もブロードウェイで歌っているそのキャストが、そのまま出てるんです。しかも(行った事ないですが・笑)さすがブロードウェイと思ったのは、その圧倒的な歌唱力とダンスと演技力を、実にさらりと魅せてくれている所。エンターティナーというものに対して要求するレベルが日本より数段厳しいですね。小堺カズキさんがパンフに書いていましたが、私もこれだけ徹底して「水面下を見せずに」優雅に泳ぐ誇り高い白鳥は久しぶりでした。凄いです。

Pro3

で、そのミュージカルとして一級品以上のうなるような歌唱力に支えられて、展開するのは、もう突っ込みどころ満載のどたばたギャグてんこ盛りストーリー。っていうか、ストーリーなんかないですよ(笑)。もうどうしてくれよう、このオヤジギャグの数々!!!芸の真髄ならぬゲイの真髄も(!)堪能できますし、英語まじめに聞いていると耳を疑うような(!)下ネタ連発ですけど、でも笑い飛ばさなきゃもったいないです!そう、笑い飛ばさなきゃ!!!

Pro2 この映画に描かれている元の舞台は、宣伝文句にもあるとおり、トニー賞を各部門独占状態でした。同じミュージカルの「シカゴ」や「オペラ座の怪人」をも超えた由。はっきり言って、作曲・編曲のレベルや、歌唱曲としての難易度は、後者のほうが数段上、だったでしょう。でもこの舞台がそれほどまでに高く評価され、映画としても成立したのは、そこに強烈なメッセージが、あるからだろうと、私は思っています。
この芝居が笑い飛ばしているのは、もちろんブロードウェイそのものです。その内幕をさらけ出した自虐ネタ、デフォルメされているはずなのに本当にどこかにいそうな(!)強烈なキャラの数々vv でも、ブロードウェイのもつそうした息苦しさ、胡散臭さは、実は私たちもどこかでうすうす感じていた筈、なんですよね。さらに、「一晩で客が来なくなる芝居」として実はナチスネタが使われています。「鍵十字」という記号ひとつで、客は見なくなるはず。そしてその通り、客は最初次々と席を立つんですが、でもそれって、よく考えたら、おかしいこと、なんですよ。たいへんよんどころない事情によりこの劇中劇でヒットラーを演じるのは実はゲイの振付師なんですが(大爆笑)、そうやって「笑う所だからv」とお墨付きが出て初めて安心して私達は笑う。そうしてお腹を抱えてゲイのヒットラーを笑い、鍵十字やマスゲームを舞台の装飾として楽しみ、もちろんヒットラーの(ここでも)完璧な歌唱力に心震わせながら、ふと思うんですよ。どうしてナチをネタに笑いをとっちゃいけないのか。何で今まで使わなかったのか。こんなに馬鹿馬鹿しいのに。

鉄兜の集団が整然と行列しているのを見て、不気味だと思う人と、滑稽だと思う人の、どちらの精神がより健康かといわれれは、それは後者です。怖れおののく魂は、見えない影に怯え、実体のないものに震えて、ついには自ら縛られてしまうからです。誤解を恐れずに言えば、私達はナチスを見たわけではない。今を生きる私達にとってあれは歴史上の事件の筈です。それを「人間の誰もが持つ心の闇だ」とか言って今にも甦りそうに脅すから、逆に幽霊が化けて出てくる。「全体主義だって。ばっかじゃねーの?」と、「ヒットラーってさ、ぶっちゃけ超ナルなだけじゃん。アホみてぇ。」と、言ってるほうがよっぽど健全なんです。ナチス党員に憧れるオジサンの熱意は熱意として感心しながらも、でもやっぱり指差して笑っちゃう。それはむしろ、笑わなきゃだめなんです。笑い飛ばして初めて私達はそれを「過去の話」として見、その呪縛から決別する事が出来るからです。


この迷えるプロデューサー達は(笑)、このナチネタに続き、相変わらずキワドイ路線でプロデュースしていったらしいです。いわく

"South Passaic"
"High Button Jews"
"Katz"     ・・・etc

もし、もしコレが本当にブロードウェイに掛かる日が来たら、

きっとその時、世界はモノスゴク平和になっているんだと、思いますよ。

|

« オリコン1位v | トップページ | 「パピリオン山椒魚」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/103190/9560647

この記事へのトラックバック一覧です: プロデューサーズ:

» プロデューサーズ  〜このユダヤねたは最高だ!! [シカゴ発 映画の精神医学]
/a  ブロードウェイ・ミュージカル「The Producers」の映画化ではない。  少しややこしいが、メル・ブルックスの初の監督作品が、「プロデューサー ズ」(1968年)。それが、2001年にブロードウェイ・ミュージカル化され、現在 も上演中。今回は、ブロードウェイ・ミ...... [続きを読む]

受信: 2006年4月13日 (木) 15時10分

» 「プロデューサーズ」下品で贅沢で見た目勝負の笑いの舞台 [soramove]
「プロデューサーズ」★★★★ ネイサン・レイン、マシュー・ブロデリック主演 スーザン・ストローマン 監督、2005年アメリカ ブロードウェイ・ミュージカルを 実際には見たことはないが 度派手な舞台を見ている気分にさせてくれる映画 ままにならない現実を嘆く...... [続きを読む]

受信: 2006年4月20日 (木) 07時46分

» 映画「プロデューサーズ」 [茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~]
原題:The Producers 華やかなブロードウェイのイメージに、悲哀に満ちたプロデューサーと虐げられた会計士が出会い、優しくて楽しいハッピーエンドの幕が上がる。 We can do it、me and you!・・何がって?・・そう、それは二人の男の友情だったよね。時代は1959年ニュ... [続きを読む]

受信: 2006年5月 4日 (木) 12時39分

» プロデューサーズ [まぁず、なにやってんだか]
レディースディのレイトショーで、期待の「プロデューサーズ」を観ました。さぞや混んでいると思いきや20名ほどの入りでした(少なっ)。 オープニングの金管楽器の演奏と、ネオンの明るさでワクワク感が高まります。 「面白い」と評判だったので、最初から笑いを期待していたのですが、小ネタはあるものの、想定内のネタなので、私にはもの足りません。 フランツ(ウィル・フェレル)が登場するあたりでは、笑うというより、あまりの変人ぶりにドン引きしてしまいました。冒頭からここまでは、笑いを楽しむというより、ミュー... [続きを読む]

受信: 2006年5月 4日 (木) 20時19分

« オリコン1位v | トップページ | 「パピリオン山椒魚」 »