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2006年4月10日 (月)

「ナイロビの蜂」試写会

Sneak 「スニーク・プレビュー」行ってまいりました。内緒の映画とは、これvでした。公式サイトはこちら










 えー、タダで見せてもらったので(^_^;)1800円分は褒めます。まず景色の撮り方がとても美しかった。雄大なアフリカの大自然も、主人公の心象風景と重なる「庭」の景色も、本当に綺麗です。しかもそのひとつひとつが、ほんのわずかずつ意図的にわざと引いたショットになっていて、それがどこか遠い幻想的な、ある意味寓話的な雰囲気を醸し出しています。ストーリーがドキュメンタリータッチに陥りがちな分を、映像が見事に助けていまして、これには最後の最後まで本当に感動しました。職人技です。
 そのストーリーは、簡単に言うと、巨大製薬会社が新薬開発の治験をケニアの難民を使って行っている、という告発映画です。それを掴んだジャーナリストの妻が殺害された事で、外交官である夫がその遺志を引き継ぎ、全貌を暴いていきます。その過程がサスペンスタッチでもあり、また喪失を乗り越え夫婦の愛を貫く姿を感動的に描いたものでもあり、アフリカが現在抱える問題を映像の真実として訴える映画でもあります。それに、巨悪と戦う一個人というテーマは、団塊の世代のおじ様おば様は大好きなはずです。せっかくシニア料金が設定されているのに「見たい映画が無い」と嘆いている客層には、きっとヒットすると思います。そのあたりをターゲットに宣伝を展開していけばよいのではないでしょうか。


 簡単ですが、これで義理は果たしたと思いますので(笑)以下私の感想を。一緒に行って下さったお2人が一様に嘆いておられたのは「テーマを盛り込みすぎて散漫な印象しか残らない」という事でした。確かに、上にあげたこの映画のポイントは、どれも泣こうと思えば絶対泣けるテーマだったと思うんですが、それがどれも中途半端に寸断されていて、訴えかけて来る、まで行きません。見ていてフラストレーションはたまると思います。
 それと、巨悪と戦う云々というテーマは、その巨悪が石油タンカーだったり工場廃水だったり炭鉱で働く同僚だったり鯨の捕獲だったりしても(苦笑)、ストーリーとしてはもう手垢にまみれきったものですから、若い人にとっては既視感ばかりがつのる。それに、日本では「治験」というものをある程度理解し容認しているという背景があります。映画の中では治験と言っても、ただ同意書にサインして薬をもらうシーンが出るだけですし、その治験薬を打たなくても早晩別の疫病で死ぬような劣悪な環境ですから、観客にはその生死の因果関係すらも正直ピンと来ません。だから、何をそんなに躍起になって告発しようとしているのか、見ているこちらは何だか置いてきぼりを食うんですよ。

さて、ここからは「治験」というものの実態について、映画を離れてさらに突っ込んだ話です。とても嫌な話ですので、興味のある方だけどうぞ。実は私はまだ原作を読んでいないのですが、これはたぶん、最初に書いたとおり、いくつもの事実をパッチワークのようにつなぎ合わせて「寓話」として仕立て上げたものなんでしょう。映画で引っかかった点がいくつかあって、見終わってから斯界をよく知る知り合いにいろいろ問い質したところ、結局映画の中で採用されている臨床シーンは、実際にはそれぞれ別の薬の開発のための行為だっただろうという事でした(たとえて言えば、このシーンはエイズ新薬、そちらのシーンは白血病、というような)。そしてさらに、私が見ていてとても引っかかったあるシーンについては、たぶん以前、モルモットより一段階節約できて安く上がる「培地」として使われていた頃の逸話だろう、という説明。さすがに今はそんな事は出来ないですが、日本以外の世界中どこでも、動物実験は本当に厳しく規制されているのを考えると、ちょっとぞっとします。そしてそこまで聞いて初めて、主人公夫妻が命を賭して告発しようとした黒歴史と、それに対する意気込みも理解できました。が、映画ですから、やはりそのあたりは「寓話」としてぼかしてまとめる・・・しかなかったんでしょうか。



うーん、ぼかして描くのとメタファを使って現実を描くのとでは、天と地ほどの違いがある、と私は思うんですけれどね。


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コメント

初めまして。
わたしも試写会で観て、「何か色々詰め込みすぎて全体が薄く仕上がってるな~」と思いました。悪い映画ではないと思うんですが…
あと、宣伝で「世界が涙した愛の奇跡!」なんて謳っているので、感動モノなのかと思っていったら、肩すかしを食らった感じです。
宣伝文句もなんだか間違ってますよね…

TBさせてくださいね。

投稿: りお | 2006年4月26日 (水) 01時44分

りおさま

こんにちは。初めまして。
私もこのココログで、試写が当たって行きました。「見たら感想をブログで書いて下さい」というお話だったのですが、そもそもみなさん書いてらっしゃらないんですよ(笑)
TB本当に有難うございます。こちらからも是非お願い致します。

りおさんの仰るとおり、これは宣伝の仕方がちょっと違いましたよね。あのキャッチコピーをそのまま受け止めると「シェルタリング・スカイ」みたいですが、実際は「M.I.3」ライトバージョン、のような・・・
海外では結構ヒットしているようなので、日本の映画ファン向けではなかった、と言うことかもしれません。

投稿: contessa | 2006年4月26日 (水) 10時37分

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» 蜂蜜洗顔でしっとり〜ナイロビの蜂 [○○をアレしちゃいました]
アフリカで横行する貧しい人々に対する薬物実験、官僚とその薬品メーカーの癒着を密告し、数日後帰らぬ人となってしまった妻テッサ。そんな「妻の死」の真相を追う中で彼女自身について、彼女の自分に対する愛を夫ジャスティンは再発見する。 /この映画の内容的には関係ありませんが、テッサのモデルとなった実在するフランス人女性活動家がいます。国際難民救済に情熱をそそいだ彼女のポリシーをテッサは受け継いでいるといえるでしょう。アカデミー4部門ノミネート、助演女優賞受賞の作品にぜひ触れてみてください。 ... [続きを読む]

受信: 2006年4月27日 (木) 18時35分

» 映画「ナイロビの蜂」 [いもロックフェスティバル]
んー、これ舞台がアフリカだから映像含め色々と新鮮に見えるだけで、 ストーリー自 [続きを読む]

受信: 2006年5月 3日 (水) 23時40分

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