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2006年2月20日 (月)

アメリカ・家族のいる風景

WALL01_1024「待ちに待った映画」3本のうちの公開1本目、見てきました。
公式サイトはこちら




 話自体は、これから公開されるジャームッシュの「ブロークン・フラワー」と似てます。「息子がもうすぐ19歳になります。あなたの子です(Broken Flowerの宣伝コピー)」という類の、世の男性諸氏にとって人生最大のサスペンスドラマです(笑)。しかし登場人物は、少なくとも私からは最も遠い世界に住んでいる人ばかりです。撮影所を突然バッくれる往年の映画スターの気持ちも、突然親父が帰ってきた息子の気持ちも、「よりを戻そう」と言われるかつての恋人の気持ちも、私にわかると言ったら絶対嘘になります。この映像を前にしてそういう嘘はつけない。普通の人間があたりまえに演技していますが、どこかがすっと乾いている、っていうか、物凄く抽象的で、だからそこに出てくる人に「共感する」っていうのとは全然違うんですよね。その一方で、たとえばじっとソファに座って己が来し方行く末を考える、サム・シェパードのその指先の冷たさとか、首の後ろの落ち着かない感じとかは、もう手に取るように「感じられる」んです。まるで自分がそこに座ってるみたいに。
 大体私は西部劇なんて一本も見ない。ざらざらした丘陵、途方もなくつづくだけの退屈な道、乾いた空気、乗る為だけの車、ブルースギター、とんがったブーツ、カッコだけの勘違い兄さん・・・私にとってはどれも普段なら見向きもしないアイテムなのは間違いないんです。でも、ヴェンダースの映画ってほぼこれ「しか」出てこなくて(笑)でもそれでも目のやり場に困るどころか息も付かせずに最後まで見ちゃうんです。世にロードムービーと称されるものは数多あり、それこそヴェンダースのインスパイアだのパクリだの亜流だのは掃いて捨てるほどありますが、その、彼らの描くある種の世界がこれだけ嫌いな私を、これだけひきつけて離さないのは、「やっぱり」ヴェンダースだけ、なんです。ほんとに何なんでしょうね、この監督は!!!
 今年は私にとって映画の当たり年です。ヴェンダースとジャームッシュとルコント、3人揃って日本で映画がかかるなんて、何年ぶりでしょうか。もはやこの名を挙げると映画の「オールドファン」と言われそうに、若い監督に勢いある昨今ですが、でもやっぱり見に行ってしまいます。やっぱり、という点では、私にとってはヴェンダースが一番「やっぱり」です。


おまけ。
WALL02_1024 その赤ん坊の時別れた息子が←こちら。ガブリエル・マン氏。いかにもありがちな青年を、リアルを通り越してとても分厚く好演していました。昔のショーン・ペンの、もっと常識的な感じ(笑)。上手かったです。
で、映画の見方としてこれはイケない事なんですが、この人と、サム・シェパードが生き別れの父子の対決、ということで、途中どうしても「血と骨」を思い出してしまいました。映画の中でそれぞれのシーンが持つ重みが違うので、比較するのがそもそもナンセンスなんですが、その葛藤を描くのがどれだけ難しいことなのか、今日骨身にしみて感じました。女親にはわからない、人間性や人格を頭から無視した濁流のような血の結び付きと、力のみでしかはかりえない、互いの存在のある種原始的な根源とその価値と・・・・「血と骨」の大乱闘が世の息子達の共感を一身に集める意味が、おぼろげながら、わかった気が、します。



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