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2005年11月 2日 (水)

斉藤 一

image3新撰組の隊士の中で誰が一番好きかといわれると、私は昔から土方でも沖田でもなく斉藤一です。もし同時代の人でもう一人挙げていいと言われたら岡田以蔵。私は昔これを言って、時代物の好きな主人に人非人呼ばわりされましたが(笑)、ふつ~の人は斉藤一そのものをほとんど知らないのじゃないかと思います。だから大河ドラマでオダギリ氏が斉藤一を演じてくれた時は、この必殺仕事人の認知度が上がり私も変態呼ばわりされなくなって、非常に感謝していましたvv

三谷さんの新撰組!が出るまで、歴史小説・ドラマなどでは、隊士の「20代」という年令を、当時の人の寿命から逆算して今の30~40位の感覚で捕えていたと思います(漫画除く・笑)。働き盛り集団。そのセンで行くと、私的には斉藤一は佐藤浩一なんですね。あのくらいオヤジ(笑)。で全身からどうしようもなく荒んだ雰囲気を漂わせる、歩く殺人鬼。何でか。人を斬るから、です。
私は、剣を構える人はつまるところ殺人鬼としてのみ存在が許されると思っています。剣の力を思想信条の手段として利用したり、剣を持ちながら人を殺すのに理屈やいいわけをこねる人は、剣に対して無礼です。構えた以上は、ただひたすら全身を刀となして、人を斬るのが本当なのであり、道場の稽古とは、そこが全然違うのです。道を究める、といった自己満足の追求ではなく、逆に己を無にした、やるかやられるかの「真剣」だからこそ構える価値があるのです。その辺りに迷いのない、斉藤さんと以蔵さんは真の意味での達人だと思います。

佐藤浩一さんは三谷さんの新撰組では、何と芹沢鴨にまで昇格していました。だから新撰組の隊士は更に若い。なんというか、お兄ちゃんの集団、です。今まで無学の百姓浪人ということで片付けられていたさまざまの矛盾に満ちた行動も、そこでは「若さ」でさわやかにトバシていきます(笑)。そういう前提で、オダギリ氏の斉藤一は出てきます。佐藤さんは斉藤の時も芹沢の時も同じように全身「殺人鬼」でしたが、オダギリ氏は・・・この人は何をどう演じても、卑屈さや卑しさといった堕ちた感情が身に添わない人で、暗くてもドロドロにはならず、翳があってもそのまま道の真ん中を堂々と歩いていきます(それも若さか?笑)。でもだからこそ、斬る時の凄みは半端ではなく、その瞬間、「人間じゃないもの」に豹変するのが、全身が刀そのものに成り代わるのが、はっきりわかります。ドラマの中では芹沢と斉藤の接点が時々あるんですが、並んで描かれていると本当に面白い。年令が逆転しますが見ていると、佐藤浩一的人生を歩いてきた斉藤が行き着いた先がオダギリ斉藤だった・・・そんな感じがするんですね。ぶっちゃけ、佐藤さんのほうはやんちゃですが、オダギリ氏のほうはコワいです(笑)。

三谷さんの新撰組!に、私と主人が、いかにも「斉藤らしい!」と唸ってしまったせりふがあります。最後のほうで、結核でもう先のない沖田君を見舞いに行った斉藤が、縁側で沖田本人に、「いつ頃死ぬんだ?」と、優しく淡々と聞くのです。命は大切にしましょう、といった絵空事の吹き飛ぶような、凄いせりふです。「人は死ぬのだ」という事を、いやというほど体で受止め続けてきた斉藤だからこその一言。そして強い彼だからこそわかる、自分とは違う強さを秘めた沖田の才。ただその事ゆえに彼をいとおしみ、その運命をどれほど惜しく思ったか、胸中は痛いほど伝わってきます。

斉藤一は、そういう、「真剣な人」だったろうと、私は思っています。

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コメント

年若い友人がここを読んで、「幕末恋歌・新選組」といういわゆる乙女系ゲームを貸してくれました。
珍しく(笑)斉藤一の扱いが良いから、というふれ込み。斉藤一を知らないようなお嬢さんでも、このゲーム終了後は人斬りマシーンのファンになるんだそうです。
いや、要潤や葛山さんが出ていてさえ昼のメロドラマを3分と見続けられなかった私にとって、乙女系ゲームというジャンルはあまりにも強烈でしたが(笑)。

でも斉藤一って、大体武勇伝しかない人なのですが、例えば伊東先生の所でスパイしてた時、「女癖が悪くて放擲された(ので近藤の元へ戻った)」とか、「他人の奥さんを寝取って恨まれ、夫を切った」とかいうそっち系の「武勇伝」も確かに在るんですよ(真偽不明)。
そして、オダギリ斉藤はそーゆーのを超越しちゃってるvv感じですが、佐藤斉藤ならうなずけます。っていうか、若い時の佐藤浩一なら、このゲームは全っ然違和感ありません(おいおいっ)。

久しぶりに「そっちの」斉藤一を思い出したゲームでした。


投稿: contessa | 2005年11月 7日 (月) 16時46分

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