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2005年10月26日 (水)

クラブ進駐軍?!

えーと、オダギリジョーいいよね、と一言漏らしましたら、周りのおかーさん友達が一斉に、「いいでしょ?いいのよあの人は!!ほらこれ見た?」
・・・・・というわけで、今、DVDがPCのまわりにドンと詰まれています(笑)。見たことある物もあるのですが、それより「どのオダギリが好きか」というのがそのおかーさんのキャラと見事にリンクしていたのが、とても面白かったです。それだけ多彩な俳優さん、ということなんでしょうが。

「クラブ進駐軍・この世の外へ」は、見ていてほんとーに怒りのこみ上げてくる作品です。最後の最後、エンドタイトルのバックで流れる「クラブ進駐軍(本物)」の演奏と画像で、そこまでの2時間で蓄積したフラストレーションがパァァァァァッと一気に開放されますが、ひょっとしてそれを狙っているのか?(笑)と思えるほどに、映画の中の演奏は「いらいらさせるだけ」のものでした。だいたい英語の発音が戦後60年を経た英語教育の成果(笑)そのまま。当時の人たちは下手は下手でも、もっと違う英語を話し、唄っていました。そんなの生き字引がまだたくさん生きているのに。先日、それこそクラブの華だったペギー葉山さんのご主人、根上淳さんが亡くなられましたが、この方の、耳から入った人独特の、音の「使い方」や、その日本人離れした有気音と無気音のメリハリのつけ方は、どんなにか耳に心地よいものでした。根上さんだけでなく周りの人、世良さんも石井さんも皆そうです。そうでなければ食べていかれなかったから、です。

たぶん、役者さんにあれもこれも全部させようとして自滅しちゃったんでしょうが、何か他のやり方は無かったのかと思います。っていうか阪本監督が、「顔」で藤山寛美や中村勘九郎に要求していた水準をそのまま、荻原聖人や村上淳に求める所に無理がある。そこまで全部役者の力量におんぶに抱っこではなくて、もっと監督の側にする事が有ったのではないの?という怒りです。余談ですが、ジャズなのにロックの叩き方が最後まで抜けなくて本人が叩いているとすぐわかる(笑)オダギリ氏の演奏を聴く限り、この人は根はまじめで至極まともな人なんですね。それなのに自分の核は自分で創出するところがパンクなんだろうと思いますが。

よかったのは、ほんとに映画の本筋とは全然関係ないトコなんですが、長崎エレジーでした。これを見た時志賀直哉の「灰色の月」という小説を思い出しました。戦後間もない頃、夜中に電車に乗った作者が、長座席の端で眠りこける少年工を見つけます。眠りながら奇妙に頭をゆするその少年をちら、と見た人が、作者に、自分の腹を指差して見せます。少年は餓死寸前で助からない、という意味です。そんな事は作者の周りで日常茶飯事、それでも作者はとりあえず、少年にいろいろと話しかけます。と、少年がこう言うのです。
「どうでも、かまわねぇや。」

フラナティックな復興とそこにある生活の活気が、ある種の諦念を奥底にはらんでいる、それが「敗戦」ということだ、とこの短編は取り出して見せます。そしてその少年工は、きっとこんな顔だったろう、というのが、映画の片隅で長崎エレジーをつぶやいているオダギリ氏でした。その3秒ほどの場面は、他のどんな道具立てや点描よりも、「戦後の人たち」を、その心象風景を、直接こちらの心に感じさせるものでした。少年工の存在が、私の中で初めて今と繋がる現実となった・・・気がします。いや、映画とはほんとに関係ないのですが(笑)。

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